累進課税制度とは? しくみやメリット・デメリット解説します。

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累進課税制度とは?

累進課税制度とは、課税される金額が大きくなればなるほど税率も上がる方式です。

累進課税には2種類があり、日本では課税標準金額より超えた金額のみ高い税率が課せられる超過累進課税方式が採用されています。

 

累進課税制度のメリット

富の再分配が行えます。累進課税制度は所得税や相続税で課せられており、お金持ちや所得の多い人から多くの税を課すことができるので富の再分配が行えることがメリットとして挙げられます。

所得格差の是正を行うことができます。

経済的身分の世襲・身分の固定化を阻止することができます。

消費に回さず、貯蓄をする人に対して消費を促進させることができます。(相続税の累進課税)お金持ちが世代超えてお金持ちでいることが難しくなります。

 

デメリット

労働意欲を減退させ、労働供給の低下につながります。例えば扶養者控除を超えてしまうと自分で税金を納めないといけないため扶養者以内に労働時間を調整しています。

 

累進課税の計算方法

所得税は5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%と7段階に分けられており、2037年までは復興特別所得税が2.1%課せられるので最高税率は45.945%で住民税の10%を含めると55.945%が課せられます。

参照:国税庁HP

 

国税庁の税率のグラフは誤解されやすいのですが、

330万円の人は10%の税率で33万円ではありません。

331万円の人は20%の税率で66.2万円ではありません。

そうすると331万円の人の方が実際自分の手元に残る額が低くなってしまう逆転現象が起きてしまうのです。

日本の累進課税制度は超過累進課税制度を採用しているため、先ほどの例で言うと195万以下の部分に関しては5%、195万から330万に関しては10%という計算をします。

かなりめんどくさい計算になるため、予め各段階において控除額が定められています。

控除金額は緑色の部分を自動的に計算してくれた額になります。

なので正確には330万円の人は330万×10%-97500円=232500円

331万の人は331万×20%-427500円=234500円とさほど変わらない額になります。

 

累進課税制度の問題点

累進課税は所得の格差是正と言われていますが日本の累進課税には問題点があります。

日本の所得総額は250兆円ありますが、個人事業主などは控除を行い実際に払わなければいけない金額を減らしており、実際に所得税が課せることができる課税所得は110兆円となっています。

残りの140兆円は控除により課税対象から外されているのです。

例えば個人事業主が車を買ったとした時に事業で使うとして経費として控除に参入できたり、話題のふるさと納税では所得税が多い人の方が多くの返礼品をもらうことができます。

そのため格差是正の手段としては一つ物足りない所もあります。

 

富裕層の立場から考えると、富裕層も低所得者層も選挙では一人一票与えられており、選挙では多数派にはなれないため政治的に不利な立場です。

富裕層は日頃から節税になる方法を考え、実行しています。

シンガポールや香港などタックスヘイブンと呼ばれる租税回避地に移住している人もいます。

過度に累進課税制度を強化することで資本が海外に異動し、課税対象者が海外に行ってしまうことがあるので財源確保には繋がりにくいと言われています。

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