景気が上向きになっていると言われていますが、サラリーマンの実感としては給料が全然上がっていないような実感があります。それは企業が利益の向上分を内部留保として貯めこんでいるためです。
内部留保とは?
内部留保とは利益から配当や役員報酬を減らした額のことをいい、利益剰余金とも呼ばれています。
利益ー(配当+役員報酬)=内部留保(利益剰余金)
内部留保は企業の軍資金であり、資産です。資産は土地・建物・設備・株券などに変えて存在している場合も多いです。そのため、内部留保を取り崩して、従業員に還元することは資産を取り崩して規模を縮小することにもつながります。
内部留保は長期に取引をする際に信頼につながります。内部留保があれば何かがあったときも崩れずに事業を継続できるため、有利な条件で融資を受けることもできるのです。
内部留保の推移
財務省が2018年9月3日に発表した2017年度の法人企業統計で、企業が得た利益から株主への配当を引いた利益剰余金は440兆円だったと発表しました。
世界的に景気が上向きになってきており、経常利益は11.4%増加の83兆、設備投資額も5.8%増加の45兆となっています。
設備投資費は人手不足を補うために企業が増加させているが利益の伸びに比べると少ないことがわかります。
年々企業内部留保額は上がってきていることがわかります。
利益が上がっているのにも関わらず、ためこんで人件費や配当に回していないとして、企業の内部留保が問題になっています。企業が先行き不透明な世の中になってきたため新たな設備投資や従業員の基本給を上げるのをためらっているのです。
利益と配当の関係性
配当も利益の増加に比べて低い状態にとどまっています。
純利益に占める配当の割合を示す配当性向も平均は30%ほどで、欧州の主要企業の半分にすぎません。欧州の企業に比べると株主に対してあまり還元していないと言えます。日本は横並びの精神が強く、皆と同じ30%付近であれば株主に対して問題ないだろうという考えに至っていると考えられます。
企業がお金を使っていないことが明らかです。
なぜお金を使わないかというと人口が減少し、低成長が続くことが予想され、世界情勢も不安定になってきている中でいざというときに会社を存続させるために内部留保をふやしてしまっているのです。
我々将来が不安だが、企業も将来を不安視しているのです。
内部留保課税とは
日本の内部留保の比率が高いため、内部留保に対して課税を行うことで企業が蓄えているお金を国民に!という公約を掲げる政党がでてきたようです。
実際に内部留保に対して課税をかけた場合にはどうなるのでしょう。
企業は従業員の還元や設備投資にお金をかけずに、節税のために配当を出したり、自己株式の購入を行ったりすることになります。
そのため内部留保は減らすことができますが、経営が不安定になります。
また、事業を拡大したくても内部留保が足りないため断念するケースや、アイディアはあるけどお金が足りずにできないケースもでてきます。
そのため国際的な競争力が低下してしまいます。
また国民が持っている貯蓄に対して貯蓄税なんて言う話しも出てきています。
どんなことが起きようとも大丈夫なようにリスクの分散は心がけましょう。
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